電気工事業界の多くは、数名〜十数名規模の企業によって支えられている。
株式会社ラプチャーもまた、そうした中小事業者の一つでありながら、独自の育成方針と組織づくりによって、社員一人ひとりの成長と自立を重視した経営を実践している。
今回は、営業職から電気工事士に転身し、現場経験を積んだのち法人化──ラプチャーを立ち上げた代表・加藤氏(以下 加藤)にインタビューを実施。
これまでのキャリアの変遷、会社として乗り越えてきた課題、そして「どこに行っても通用する人材を育てる」という想いについてお話を伺った。
≪目次≫
・なぜ電気工事の道へ?代表・加藤のキャリア転機・
・ラプチャー創業の経緯と、社名に込めた“実はない”由来
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■なぜ電気工事の道へ?代表・加藤のキャリア転機
─ 加藤さんはもともと、不動産業界にいらっしゃったそうですね。最初のキャリアから伺ってもよろしいですか?
加藤:はい。大学では法律を専攻していて、その知識を活かせると思って、不動産デベロッパーに就職しました。契約関係をまとめたり、自社物件の営業をしたりしていたんです。
─ 安定したキャリアのように思えますが、そこからなぜ「手に職」を?
加藤:不動産の営業って、たとえ自分が良いと思えないものでも売らなきゃいけないことがあるんですよ。感謝されることも少なくて……だんだん自分の仕事に違和感を持つようになったんです。
─ 「会社の箱がないとできない仕事」への疑問もあったと。
加藤:ええ、そこが一番大きかったです。自分のスキルで勝負できないのが不安で、「このままでいいのか?」って。手に職をつければ、会社がなくても食っていけるんじゃないかと考えたんですよね。
─ 電気工事の他にも、林業や漁業も選択肢にあったと伺いました。
加藤:そうなんです。衣食住に関わる仕事って、絶対に無くならないじゃないですか。その中で電気工事を選んだのは、地元で未経験者を募集している会社があったから。でも結果的に、すごく合ってたと思います。
■現場に立ち、責任を持つ側へ──「仕事を選べる自分」になるまで
─ 電気工事会社での経験を積まれる中で、最初はどんなことに苦労されましたか?
加藤:生活ですね(笑)。年収はガクンと落ちたし、住民税の請求もきつかった。でも、不思議と後悔はなかったんです。仕事を覚えるのも面白かったし、資格もすぐに取りましたから。
─ 会社に依存せずに稼げるようになったきっかけは?
加藤:夜や休日に個人で工事を受けてたことですね。知識と資格があれば、単価は低くても自分で仕事を取れるってわかった。営業出身だったのもあって、現場仕事でも「仕事を選べる自由」があると気づいたんです。
─ そこから仲間を巻き込むようになったと。
加藤:仕事が増えると、一人じゃできなくなってくる。知り合いや若い子をアルバイトで呼んでいたら、彼らが僕の仕事に生活を頼るようになって。もうこの流れは止められないな、と感じました。
─ では、会社化は自然な流れだった?
加藤:そうですね。当初は「起業するぞ!」なんて意気込んでたわけじゃなくて、人が増えて、売上が増えて、「だったら法人にした方がいいよね」っていう選択肢でした。
─ “自分の力で選択できるようになる”という考え方は、その頃に確立されたんですね。
加藤:そう思います。会社に依存しなくても食べていける力を持つ。それって精神的にもすごく楽なんですよ。
■会社を襲った2つの危機と、それを超えて得た教訓
─ ラプチャーを法人化されてから、順調な時期とそうでない時期があったかと思います。特に印象に残っている“壁”はありますか?
加藤:大きく分けて二つですね。ひとつはコロナ。もうひとつはキャッシュフローです。
─ まずコロナ禍での影響について伺えますか?
加藤:法人2期目くらいの頃、日本製鉄さんと直接契約して兵庫の製鉄所で仕事してたんですよ。現地の協力業者を50人くらい集めて、3年続く大型案件で。月商で8,000万、粗利3,500万と、かなり調子が良かったです。
─ そこから一気に……?
加藤:ええ。コロナの影響でその現場が突然ストップしてしまって、全部白紙。営業所まで出していたのに、収入はゼロ。しかも、他の仕事も慌てて取った結果、今度は1,000万円の未払いが出るという……。
─ まさにダブルパンチだったんですね。
加藤:そうです。当時は会社として土台がまだ固まっていなくて、リスクマネジメントも甘かったんですよ。勢いで会社を大きくした分、不測の事態に耐えられなかった。
─ そこからどう立て直したのでしょう?
加藤:一度“定空飛行”に切り替えて、自社施工の比率を増やしました。売上や粗利を追うんじゃなくて、自社のやり方・品質・基準を地に足つけて作り直したんです。
─ それがのちの「ラプチャークオリティ」につながっていくんですね。
加藤:そう思います。結果として、現場の品質を評価してもらえるようになって、最近ではこちらから営業しなくても「またお願いしたい」と言われるようになってきました。
─ もう一つの課題だったキャッシュフローの問題についても教えてください。
加藤:電気工事って、特に新築は出来高払いが多いんです。仕事は終わってるのに、お金が入るのは1か月後とか。月1,500万くらい材料費を立て替える時期もあって、資金繰りが非常に苦しかったです。
─ 資金調達の知識もない状態だったと?
加藤:はい。創業融資も受けてなかったし、経営について勉強もしてなかったんです。コロナで決算内容も悪化して、銀行は貸し渋り……。正直、あの時が一番キツかったですね。
─ 現在はその状態から改善されてきている?
加藤:ようやくです。倒産した取引先もありましたが、利益率も改善できて、現場からの評価も上がってきた。根を張った分、成果が返ってきた実感はあります。
■「一人で食っていける人材を育てたい」加藤の人材育成論
─ 加藤さんのインタビューでは一貫して、“一人で食っていける力”という言葉が出てきます。これは、社員への育成方針にも関係していますか?
加藤:めちゃくちゃ関係あります。僕自身が「会社がないと何もできない仕事」から脱け出したくて今の道に進んできたので、社員にも“自力”を持ってほしいんです。
─ ラプチャーでは職人と施工管理、両方の経験をさせていると伺いました。
加藤:そうですね。うちは施工管理だけ、職人だけっていう分け方をしないんです。職人でも管理の知識がなければ施工の本質は分からないし、逆に管理職でも現場の感覚がなければ指示に説得力がない。
─ 両方できるようになると、働き方にも自由度が出てきそうですね。
加藤:その通り。例えばデスクワークばかりで息が詰まったら現場に出る。現場が続いて疲れたら内勤にシフトする。業務の幅が広がると、自然と働き方の選択肢も増えるんですよ。
─ 自由に働くには「できるようになる」ことが前提なんですね。
加藤:そう。だからまずは“両輪”を身につけてもらう。言いたいことが言えるようになるには、スキルと知識が必要なんです。施工だけじゃなくて、見積もり、提案、請求まで一通りできる人間になってほしい。
─ 「どこに行っても通用する人材」というのは、そういった背景から来ているわけですね。
加藤:はい。「ラプチャーにいるから稼げる」のではなく「ラプチャーを出ても稼げる」ような人材に育てたい。そのうえで「でもラプチャーで働きたい」と言ってもらえる会社でありたいですね。
─ スキルや知識だけでなく、本人の“自信”にも繋がっていく育成ですね。
加藤:まさにそれ。自分の力で食っていける自信がつけば、人としてもどんどん成長していきますよ。
■理想の職場とは?従業員20〜30人の“神経が届く”組織を目指して
─ 今後の組織づくりについて、どのようなイメージを持たれていますか?
加藤:会社の規模としては、従業員20〜30人くらいが理想ですね。今の倍くらい。これ以上大きくすると、自分の目や神経が届かなくなると思っていて。
─ 大きくすることが目的ではない、と。
加藤:そうです。むしろ「横に広げたい」。つまり、うちの考え方ややり方を共有できる協力会社や独立した元社員のようなグループを増やしていきたい。人手に困らない“チーム”を地域に広げていくイメージです。
─ それは“質”を守りながら“量”に対応するための戦略でもある?
加藤:そうですね。無理に人を増やしても、質が保てなければ意味がない。だから今は、協力会社にうちのクオリティを教えて一緒に育っていくような形をとっています。
─ 協力会社の方と飲みに行ったり、情報共有の場も積極的に設けていると伺いました。
加藤:はい。外の人と話すと、自分たちの気づいていない課題が見えたり、やり方のヒントがもらえたりする。ラプチャーだけで完結させず、常に外から学び続けたいんです。
─ “拡大”ではなく“深化と共有”を重視されているんですね。
加藤:そのとおり。会社って、足元が固まってないまま頭だけ大きくなると危ないんですよ。特に今のような不景気の時代だと、それが命取りになる。だからこそ、少数でも神経が末端まで届く組織をつくりたいんです。
─ それは、まさに“誰が見ても誇れる会社”という感覚ですね。
加藤:そう。自分が社員だったとしても納得できる会社にしたい。働く側としての目線も、ずっと忘れたくないと思っています。
■求職者へ──「技術は裏切らない。働けるやつは、かっこいい」■
─ 最後に、ラプチャーでの仕事に興味を持っている求職者の方へ、メッセージをお願いします。
加藤:この業界って、良くも悪くも“実力主義”なんですよ。実力がある人はどこでも通用するし、逆に実力がなければ、理不尽な扱いを受けることもある。
─ 厳しい言葉ですが、リアルな本音でもありますね。
加藤:でもね、裏を返せば、ちゃんと努力すれば必ず評価される世界でもあるんです。特に電気工事は、仕事の結果が“形”として残る。できる人は、自然と周囲から求められるようになります。
─ 実力があるからこそ、自由な働き方も選べるようになる。
加藤:そうです。知識や技術を身につければ、働く場所も内容も、ある程度自分で選べる。理不尽な指示にも流されず、自分の意見が言えるようになる。その状態が“かっこいい”って、僕は思ってます。
─ 加藤さんご自身も、そういう働き方を目指して転職されたわけですもんね。
加藤:はい。だから、ラプチャーで学んで、自分の価値をどこでも発揮できるようになってほしい。それができた上で、「それでもここで働きたい」と言ってもらえるのが理想です。
─ これから業界を目指す人たちにとって、勇気づけられる言葉だと思います。ありがとうございました。
加藤:こちらこそ、ありがとうございました。
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現場の技術から人材育成まで、加藤さんの言葉の一つひとつには、自らの経験を通して築いてきたリアルな価値観と、仲間への誠実なまなざしが込められていました。
「どこでも通用する自分になりたい」「技術を武器に、自由な働き方を叶えたい」――そんな想いを抱く方にとって、ラプチャーは間違いなく、そのスタート地点になるはずです。
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